2013年4月8日(月)、京都烏丸御池の「Samurai Cafe & Bar SHISHIN(士心)」にて、第八回字天ナイトを開催いたしました。

当日のライブの、活動報告です。

第九回目の字天ナイトもまた書家の八木翠月先生にご臨席いただき、小田の「新ことば」を即興で書にしたためていただきました。

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今夜に「新ことば」を贈らせていただいたのは、志*子(ゆきこ)さん。
志*子さんは、瀬戸内に生まれ、四国を転々とし、今は京都にお住まいだということです。
京都では貴船神社や糺の森に心引かれる、と語っておられました。
生物学を専攻しながら国語の教育もおできになり、文学がお好きで、今また新しい活動を始めておられるとお聞きしました。しかしながら、自らのイメージは「土」であり、土に根を張って広がっていくようにありたい、と言われておられました。





谷神之氣
(こくしんのき)

そのこころは、「谷間の神が発する気」です。

典拠は、中国の古典『老子』の一節です。

―谷神(こくしん)は死せず、これを玄牝(げんぴん)と謂う。玄牝の門、これを天地の門と謂う。

上の言葉は、自然の力の大いさをたとえた言葉です。
山から下りる谷間の底には、水の流れがある。
夏にも冬にも、雨の季節にも乾いたときにも、谷間の水は山の中から湧き出て、尽きることがないかのようです。『老子』は、この自然の尽きないエネルギーを神にたとえて、「谷神」と称しました。(これはオーソドックスな解釈です。学者によっては違う解釈を取る方もいます。)

後に続く言葉は、水を尽きず供給する「谷神」の力を、玄牝(げんぴん)すなわち母性の生産力の生じる場所になぞらえ、これこそが「天地の門」、つまり天地の力が湧き出す場所である、と称えたものです。

そこで、谷の自然力を称えた『老子』の上のくだりから、文字を選ばせていただきました。

その下に、「氣(き)」の字を付け加えました。

私は、見えざる力が谷間から降りて来る、という爽快なイメージを広げるために、この一字を付け加えたところです。京都の街中にいると、三方を囲む谷間からの気が、感じられるようです。

それで、志*子さんには「谷神之氣(こくしんのき)」という新ことばを作成いたしました。

私は知らずにこの言葉を選んだのですが、偶然ながら、「神」と「氣」の二字は、志*子さんの方で重なり合ったようです。これは、言葉を超えた自然の力が働いたためなのでしょうか?


「新ことば」Live字天ナイト at Samurai Cafe & Bar SHISHINは、来月も開催する予定です。
またとない体験を、皆さんもどうかお試しください。初見の方、大歓迎です!