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起業応援フェスティバル in Kobe(15)「烹業」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

烹業」は、ski経営サポートオフィス 酒井忠昭さんへ。

酒井さんは、これまで会社組織の一員としてそのスキルを役立てておられましたが、三年前に社会保険労務士・行政書士事務所として独立営業を始められたとか。
姫路市に拠点を置き、関西地方を営業活動の中心として、東奔西走の日々を送っておられます。
独立営業のスタートから時を経て形を成し始めた今が、事業として一番飛躍の時なのでしょう。

私は、酒井さんへの「新ことば」として、「烹業(ほうぎょう)」を考案させていただきました。

-大国を治むるは、小鮮を烹(に)るが若(ごと)し。

『老子』の中の言葉です。大きな国を統治する方法は、鍋の中に入れた小鮮(しょうせん、小魚のこと)を料理するようでなければならない。小さくてもろい身の魚を煮魚に仕上げる様を、考えればよいのです。いきなり鍋を引っかきまわしたり、あせって早急に身を裏返したりしたら、魚の身は崩れてしまいます。適度な火と水の加減に仕事をさせて、時とともに仕上げる慎重さを持たなければならない。国の運営もまた、そのようなものだ、という老子の言葉です。老子は一般に無為自然の超俗的な哲学問答を行った人だ、というイメージがあります。しかし、それは一面でしかありません。『老子』を読むと、その実際は政治や組織の運営論を言っていることは、あまり知られていません。そのこころは、無理な人為を加えず、国や組織が本来持っている力を最大限に発揮できる場を与えて活動させることが、最強の存在となるのだという教えです。

事業を展開中である酒井さんには、小魚を烹(に)るように事業を烹る、という意味を持った「烹業」という新ことばを考案いたしました。

(つづく)

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http://www.jiten.biz

起業応援フェスティバル in Kobe(14)「永樗」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。
永樗」は、梅田みどりさんへ。

これから、Web上で自分の作品を展開する事業を目指しておられると言います。
いやしの空間を、ネット上で作っていきたいとか。
住んでみたい土地は?という質問に「三重県」と答えられた。意外な土地名に、その理由をお尋ねすると、緑の多い土地として憧れがある、と答えられる。森林の中の伊勢神宮が、梅田さんの好きなイメージということです。同様に、高野山もまたお好きだとか。そういえば、お名前が「みどり」でしたね。当然、自分に近いイメージの字もまた、「木」でした。

木々の緑にお名前からして縁があり、ご自分もまた木々の緑を好まれる。彼女のいやしの空間とは、緑のイメージに彩られることでしょう。

それで、「新ことば」を選定しました。

「永樗(えいちょ)」

-吾に大樹あり、人これを樗と謂う。

『荘子』逍遥遊篇の一節です。
樗(ちょ)とは、ゴンズイの木のことだと言われています。巨木に成長するが、材質がもろくて実用には使えない。荘子のライバルである恵子(けいし)は、だからこの木は役に立たないのだ、と言いました。しかし荘子は、役に立たないから人に斬られずに巨木となることができる。その樹の下でゆっくりと休む楽しみを思いたまえ、と恵子の心の狭さを笑いました。

何かの役に立たせる木というよりも、ただそこに生きて立っていることに価値がある、そんな木の生命。
永い時間を生きる巨木のイメージは、きっとみどりさんの目指すところに合うだろうと思い、「永樗」と書かせていただきました。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(13)「經色」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。
經色」は、オリジナルジャカードアヌエヌエ代表 織田亜里奈さんへ。

織田さんは、神戸で三代続く織物店の、三代目でいらっしゃいます。
「ジャカード織」とはあまり耳慣れない言葉ですが、これは19世紀初頭にフランスで発明された自動織機を用いた織物だということです。デザインのデータを読み込んで自動的に織り上げるシステムであり、現代のコンピューター制御の工作機械の先祖のような発明でした。この用語は、私は初めて知りました。

織田さんのお店は、このジャカード織によって、オーダーメイドでオリジナルのグッズを提供しておられます。織田さんは、先代が始めたこの仕事を受け継いでおられるということです。

お店を受け継いで続けておられるお姿と、お店の商品をかけ合わせて、私は「新ことば」を創案しました。

「經色(けいしょく)」。

「經(経)」の字は「経済」「経営」など、事業関係の意味で現在用いられています。しかしその原義は、織物を織るときに縦に通す糸のことで、つまり「たていと」です。この対義語は「緯(い、よこいと)」であり、ゆえに「経線」と言えば地球の縦の指標線であり、「緯線」と言えば地球の横の指標線です。この「たていと」の原義からさまざまな意味が派生して、「つづけていくもの、つながっていくもの」という意味に広がりました。「経(きょう)」と読めば、宗教が代々伝えていくテキストのことです。「経営」とは、国や組織を継続して営んでいく様子なのです。

織田さんは、さすが本職でいらっしゃる。「經」の字が「たていと」の意味であることを、すでに知っておられた。
この「經」の字に、織田さんの本職の要である「色」を付けて、「經色」を創案させていただきました。
言うこころは、「色」をつなげていき、「色」の事業を代々続けていく、織田さんの事業のイメージです。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(12)「教教如」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

教教如」は、講師・薬剤師 山中智香さんへ。

山中さんは、この日のイベントで司会進行役を担当なされていました。
手が離せない中で、わずかな隙を見つけてYouATのブースに来られて話を伺いました。
ともかく、肩書のとおり、今は講師業に打ち込んでおられるということです。名刺には、「Solutions for tomorrow」というフレーズが刷られていました。
あちらで司会をなし、こちらでイベントの打ち合わせをなし、席の暖まる暇もなく急いでおられる姿を見て、私は「新ことば」を創案しました。

「教教如(きょうきょうじょ)」。

古代中国語の形容詞の様式にあてはめて、造語したものです。「如(じょ)」の字は前に付く字を形容詞化する助字です。「恂恂如(じゅんじゅんじょ)、『論語』より」「皥皥如(こうこうじょ、『孟子』より)」など、中国の古典にはしばしば表れる形容詞の形式です。

この形容詞の形式で、「新ことば」を作りました。
教えるがごとく、教師のような、とでも言うような意味です。
山中さんのお姿を見て、リズムある語感がよいだろうと考えて、創案させていただきました。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(11)「時籟」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

時籟」は、フリーランスライター・エディター 田村康子さんへ。

田村さんは、現在日本列島を東から西へ、取材インタビューのお仕事で駆け回っておられます。「47都道府県のうち、41までは制覇したので、残すは6つですね」とおっしゃられました。
「私のインタビューは、よくカウンセリングを受けたような事後感がある、と言われます。相手さまの言おうとしていることを引き出し、言葉に表す手助けをするのが、私の仕事です。」田村さんは、こんなふうにご自分の仕事を表現なさいました。
住んでみたい土地は?という質問について、日本の太平洋側の暖かい土地もよいし、またイギリスのウィンダミア地方にも憧れる、と答えられた。
ウィンダミア地方は、緑がいっぱいで美しい湖があります。
田村さんが幼少時によく見た夢の中には、緑で囲まれた森の向こうに、ぽっかりと小さくて澄んだ湖がある情景が見えたと言われます。
自分の中の原イメージ、とでも言うべきでしょうか。

私は、田村さんのイメージする緑なす澄んだ湖水について、思いました。
そして、田村さんのお仕事と、重ね合わせました。

そして、「新ことば」として「時籟(じらい)」を書き下ろしました。

「籟(らい)」とは、笛の音のことです。
『荘子』斉物論篇に、こうあります。

-汝は人籟を聞くも、未だ地籟を聞かず。汝は地籟を聞くも、未だ天籟を聞かず。

ふつうの人間は、人が奏でる笛の音を聞くことはできるが、天すなわち宇宙全体が奏でる音に耳を澄ますことは、とうていできないのだ。
この宇宙はあらゆる音で満たされているが、人は目の前の笛の音しか理解することができない。
『荘子』に書かれた、日常的な人知を超越するイメージを示した表現です。

荘子は天の音楽について語りましたが、ならば時の音楽もあるはずではないか。
それを聞き分けるには、特別な注意が要るだろう。
時代がどのように進んでいて、時代を生きる人々が何を望んでいるのか。
その見えざる時代の音を、田村さんは聞き取ろうとしているのだろう。

だから、時の「籟」という意味で、「時籟」の二字を選ばせていただきました。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(10)「盡形」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

盡形」は、ヤマウラデザイン 山浦一輝紀さんへ。

字天のデザイン担当、山浦さんです。
製作したデザイン活動の内容は、下に掲げた字天のサイト、及びヤマウラデザインのサイトで見ることができます。
この日は、ヤマウラデザインとして私たちの斜め前で、ブースを出店しておられました。

「今一番住みたい土地は?」という質問に対して、「スペイン」と答えられました。「理由は?」と聞けば、地の果てだから、と。
東の日本から、ずっとユーラシア大陸を伝っていき、その先の先にスペインがある。
地が尽きて、海に落ちる。沈む太陽とともに。
私は、スペインの土地から眺める夕陽の大西洋をイメージしました。
今から400年前、支倉常長の遣欧使節団もまた、日本からスペインに渡りました。
使節団が最初に逗留したアンダルシア地方のコリア・デル・リオには、現在”Japon”という不思議な姓の人々が数百人いるそうです。
“Japon”はスペイン語で日本そのもののことで、この人たちは400年前の使節団の何人かが日本に帰らずスペインに居残った、その末裔であると言われています。
はるかな国、はるかな憧憬。

そんなイメージから、私が創案した「新ことば」は、「盡形(じんけい)」でした。
出典は、『孟子』です。

-その心を盡(つ)くす者は、その性を知るなり。

「自らの心をとことんまで働かせる者は、自らの性(本性、本当の力)をとことんまで知る者である」という意味です。
山浦さんの本職は、造形です。
ならば、形が尽(盡)きるところまで、目指すであろう。
そう考えて、この字を選びました。

(つづく)

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ヤマウラデザインのページはこちら:
http://yamauradesign.com

起業応援フェスティバル in Kobe(9)「赫命」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

赫命」は、有限会社エム・エス・エンジニアリング取締役社長 松田尚三さんへ。

松田さんは、「木・火・土・金・水であなたにいちばん近いものは?」という質問に対して、迷わず「火」を選びました。
また、木の成長段階でいちばん好む状態は?という質問に対して、「枝葉が増えに増えて、周囲の草花を追い越す」状態を選びました。
アグレッシブな気を、松田さんの選択肢から感じました。

松田さんはエンジニアリング会社を経営しておられるが、話を聞くとまだまだ成長途上であると、さらに発展を望んでおられる。
松田さんはNICeの幹事でもあり、熱い起業家マインドの塊としての人格を、お話をうかがって改めて感じました。

そんな松田さんに、「赫命(かくめい)」という新ことばを創案いたしました。
赫々(かくかく)と燃える命、です。
出典は、古代中国の詩集である『詩経』です。

明明として下に在れば
赫赫として上に在り

天監下に在り
命有り既に集(な)る

(大雅『大明』より)

この詩は、古代の大王である周の文王(しゅうのぶんおう)を称えた詩です。

「下なる地で明々と輝く存在があれば、上なる天まで赫々と輝く。」
「天の総攬の下、天命はすでに降りて、王の勝利は決まったのだ。」

そのように歌う詩の二つのフレーズから、文字を取りました。
明るく燃える松田さんにふさわしい、豪壮な詩だと思って、出典に選ばせていただきました。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(8)「隣然」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

隣然」は、ZACCESS Consulting代表取締役 鬼頭秀彰さんへ。

鬼頭さんは、東京南青山に営業改革専門のコンサルティングオフィスを持ち、これが本業です。
4月15日に出店なされた事業は、それとは別で、知的障がいを持つ子供たちへの支援事業として鬼頭さんが始められたものでした。
すなわち、子供たちの手書きの文字を使って名刺を作り、これを顧客にオーダーメイドで提供する「キセキノメイシ」と名づけた事業です。
売上の一部は子供たちに還元されて、子供たちに実利とともに人の役に立つという誇りをもってもらう、という趣意があります。
人が手で書いた文字は、その人の魂が乗り移っているようなものです。
子供たちがそれぞれの魂を贈って、それが快く受け入れられて使われるならば、どれだけその魂の力となることでしょうか。

私は、鬼頭さんのお話を聞いて、すぐに『論語』のこの言葉を思い浮かべました。

-徳、孤ならず。必ず隣あり。

「徳(とく)」という字の意味は、分かったようで分かりにくい。
しかし、その語源は「得(とく)」と同じです。それぞれの人が持っている、何かしら役に立つもの、あるいは他人を楽しませるもの。要は、得させるもの。それが、「得」=「徳」です。
人間が持っている「徳」=「得」は、孤立させてはおれないものだ。必ず相引き合い、隣に人を引き寄せるものだ。
孔子は、こう言ったのです。当り前のことで、しかし当たり前のことをさらりと簡単に言うことができたから、偉大なのです。

私は、この孔子の言葉から連想して、鬼頭さんの事業に対して「隣然(りんぜん)」という字を創案しました。
「然」の字は「そのような姿」という意味です。
自(おのずか)ら然ならば、自然(しぜん)。
天が与えた通りの然ならば、天然(てんねん)。
ならば、隣があり、隣ができていく姿ならば、「隣然」だろう。
鬼頭さんの思いが隣然として広がり、子供たちが隣然となるように、願います。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(7)「耕我陶地」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

耕我陶地」は、IT活用サポーター 市川ゆきひろさんへ。

市川さんは、電機メーカーに長らく勤務された後に、郷里の滋賀県甲賀市に戻られてここで「とにかくワクワクする会 in 甲賀」を創立されて、地域から始まる活動を展開されています。
脱サラしての郷里生活を、市川さんは「晴耕雨読ならぬ、晴耕雨パソ」だ、と言われました。
手に持っておられるのはIT技術、励んでおられるのは郷里での活動。
ご自分の郷里から、次第に活動の輪を広げ続けておられます。

そんな市川さんに創案した「新ことば」は、「耕我陶地」(こうがとうち)でした。
これは、『孟子』の中で古代中国の聖王である舜(しゅん)の修行時代を指した用語、「耕稼陶漁」(こうかとうりょう)からヒントを得たものです。
はるか古代に中国を治めたという舜は、もと庶民の出身でした。
舜は、徒手空拳から初めて、「耕」つまり農業をしたり、「稼」つまり商売をしたり、「陶」つまり焼き物づくりをしたり、また「漁」つまり漁師をしたり、いろいろな職業にチャレンジしたといいます。
舜が職業をするたびに、彼を慕う者が次々に集まって、彼の周りには町ができるほどだったとか。
その人徳は、ついに時代の王であった堯(ぎょう)の目にとまるところとなり、堯は舜こそ待ち望んでいた自分の後継者だとこれを政治に抜擢し、ついには堯の死後に中国の王にまでなったと伝えられています。

そんな舜の修行時代のエピソードからヒントを得て、市川さんの活動をたとえて「耕我陶地」と書かせていただきました。

耕すのは、我自身。
そして、土地から陶器を作るように、郷里の地域を形作っていく。

そのような市川さんをイメージして、「耕我陶地」を贈らせていただきました。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(6)「尋古」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

尋古」は、ヒデ企画代表取締役 余川英俊さんへ。

余川さんは、美術品や諸道具など動産の査定・売買を展開されておられます。
鑑定眼が必要な仕事である、と思われます。
古いものが蔑まれ、新しいものばかりがもてはやされるのが、近年の世の中です。
しかし、美術品や骨董品は、時間という調理を得て初めて価値が生まれる世界です。
余川さんの温和なお人柄からは、慌しい今の時代の時の流れに惑わされず、古いものの真の価値を尋ねようとするしっかりとした心持ちが、感じ取られました。

-故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る、以て師たるべし。

『論語』の中の、孔子の言葉です。
孔子は、古いスープを温めなおしてもう一度味わうことに譬(たと)えて、昔のことを思い返してもう一度味わえば、以前には分からなかったことが今になれば分かることも出てくる。そうして、さらに味わいが深まるものだ、と言いました。
この「温故知新(おんこちしん)」は、昔から伝えられる知恵です。
余川さんのお仕事の姿に、ぴったりだと思いました。

それで、「尋古(じんこ)」という言葉を創案しました。
「温故知新」の「温故」と同一の意味の字を取り上げて、より直接的に分かりやすい表現として、古物を尋ねる余川さんのライフワークの姿とかけあわせました。

(つづく)

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