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起業応援フェスティバル in Kobe(5)「朔算」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

朔算」は、織田三穂さんへ。

織田さんは、神戸市垂水区に住んでおられる方で、最近これまで行っていた仕事から転換して、新しい仕事を始めようと模索されている最中だということです。
新しく、自分のために何かを始めなければならない。
人生で、そのような時期は必ずあるものです。

ちょっと攻撃的かな?とも思いましたが、私は彼女に『孫子』のこの言葉からヒントを得た「新ことば」を創案しました。

-算多きは勝ち、算少なきは勝たず。

戦乱の時代の中国で思想家であった孫子は、いかに上手に戦うかについて、思いを巡らしました。
彼の著作の『孫子』は、最初の篇に「始計(しけい)」を置いています。
計は計画の計であり、「はかりごと」とも読みます。戦うためには、まず十分に「はかりごと」を立てることから始めなければならない、と説くのです。
「計算」という言葉があるように、「算」の字は「計」の字とほぼ同じ意味です。
だから、孫子の上の言葉が「始計」の篇にあります。最初の計算が多ければ、後の戦いで勝つ。最初の計算が少なければ、後の戦いで負ける。これが、道理だというのです。

私は、孫子の言葉から「算」の字を取り、そこに「朔(さく)」の字を加えました。「朔」とは「朔日(ついたち)」のことで、月の初めの日を表す字です。転じて、はじまりという意味です。

-はじまりに、計算する。

この意味を込めて、これから事業を始めようとなさる織田さんに、「朔算(さくさん)」という新ことばを贈らせていただきました。
(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(4)「琢城」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

琢城」は、株式会社ウェストデータプロ代表取締役 長沼実侑紀さんへ。

長沼さんは、NICeでおなじみのバイタリティあふれる社長さんです。
姫路に会社を持たれて、「住んでみたい土地は?」という質問に対しても、姫路と答えられました。
姫路はもと播磨国の中心地であり、県庁所在地クラスの規模がある都市です。
誰でも真っ先に思い浮かべるのは、優雅な姫路城。
山陽新幹線の車窓からも眺めることができる、「白鷺城」と呼ばれる美しい造形を今に伝えています。その白壁は、琢(みが)かれたように輝いています。
かの城は、創建時から400年以上を経ていますが、そのままで現在に残されているわけではありません。
もとは豊臣秀吉が拠点としたところから始まり、江戸時代初期に大改修を受けて、現在の造形が作られました。
その後も改修が繰り返され、昭和時代にも大改修が行われました。天守閣を貫く長大な柱を得るために改修者たちが骨を折ったエピソードは、かつて人気番組「プロジェクトX」でも取り上げられました。
ローマと同じく、姫路城も一日で成らず。
姫路城は、日本の城郭の中でも最も複雑巧妙に防御のための構造が設計されていている、城郭建築の傑作です。
長沼さんの会社はIT関係ですが、複雑巧妙な構造を構築していく点で、姫路のシンボルと相通じていると思います。
城のように巧妙なシステム作りに努力し、そして会社もまた巧妙に編み上げて発展していく姿。
それで、「城を琢(みが)く」というイメージを考案して、「琢城(たくせい)」という新ことばを提案させていただきました。

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(3)「坡東人」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

坡東人」は、安藤克行社労士事務所 安藤克行さんへ。

安藤さんは大阪・東淀川区出身で現在の事務所も東淀川区にあります。「将来住んでみたい土地は?」という質問には、東京の下町、と答えられました。下町の情緒を愛し、下町での仕事を楽しんでおられる社労士さんです。

汝と住むべきは下町の
水どろは青き溝づたひ
汝が洗湯の往き来には
昼も泣きづる蚊を聞かむ

私は、安藤さんの話を聞いたとき、この芥川龍之介の『戯れに』という詩を思いました。

芥川は、その少年時代を東京本所の下町で生きました。彼の最初期の傑作『ひょっとこ』には、下町の人々の愚かにも愛すべき情緒が、活写されています。
安藤さんは東淀川区の下町の方で、東京の下町もまた隅田川・荒川のの東にあります。
そこで、川のほとりの坡(つつみ)の東にある下町を愛する人、という意味を込めて、「坡東人」(はとうじん)ということばを考案させていただきました。
「坡東」ひっくり返すと「東坡(とうば)」となり、中国の大詩人蘇東坡(そとうば、1036-1101)の雅号にも引っ掛けて、風流の隠し味となしました。
蘇東坡は、官界でしくじって左遷中に料理に凝って、「東坡肉(トンポウロウ)」という豚の角煮料理を考案したエピソードで、有名です。
大阪の下町料理(?)であるお好み焼きは、誰が考えたのでしょうか?

(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(2)「撰義」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

撰義」は、つなぎびと書家 翔悟こと、柴崎翔悟さんへ。

翔悟さんの名刺には、「偶然の出会いなんてない/すべての出会いは必然である」と印刷されています。
翔悟さんは、最初にストリート書家からスタートし、現在も路上で出会いのインスピレーションから字を書く精神を持ち続けながら、活動を続けておられます。

私は、彼の話を聞いて、日本中世の浄土門の宗教者たちを思い浮かべました。

-わがはからひにて行ずるにあらざれば、非行といふ。わがはらひにてつくる善にもあらざれば、非善といふ。
(歎異抄より)

浄土門の親鸞は、阿弥陀仏のはたらきを、自然(じねん)と呼びました。人が悩み苦しみ、人が道を見出し、人が誰かと出会うのは、ひとえに偶然ではなくて仏のはたらきによってかくのごとくならしめたのであり、自然である。
親鸞は、師である法然との出会いを、自分にとって必然であったと受け止めました。他の道を行けたのであるなら行けたかもしれないが、自分は結局師に出会ってこの道を行くよりほかはなかったのだ、ならば悔いもない。

彼の師の法然は、「選択(せんじゃく)」と言いました。浄土の信仰は、古代仏教よりも容易い。衆生にも広めることができる。だから、法然は選んでこの道に付いたのだ、と言います。

翔悟さんの仕事を見聞きしたとき、出合って「義(ぎ、ことばの意味)」と選(撰)ぶ人ということばのイメージが、頭に浮かびました。それで、「撰義」と贈らせていただきました。
(つづく)

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起業応援フェスティバル in Kobe(1)「求陽」

2012年4月15日(日)、YouATスタッフの小田と住田の両名は神戸で開催された「起業応援フェスティバル」に出店しました。

YouATの新事業である「字天」漢字デザインサービスがテーマでした。
コピーライターの小田が、会場におられた17名の起業家の方々にその場で「新ことば」を考案・贈呈いたしました。

以下に、当日考案した「新ことば」を簡略に紹介申し上げます。

求陽」は、有限会社エイチ・アド・オフィス代表取締役の弘田弥生さんへ。

求人情報紙を展開する事業内容に、陽気を明るく発散するお人柄を重ねて考案しました。

雇用形態が多様化する現代において、働く人は誰もが人生の陽光を求めずにはいられない。「一陽来復」という言葉は、中国の『易経』から由来してあります。中国の宇宙論では、万物は陰と陽という二つの要素が交じり合って形作られ、しかも陰と陽は日々循環して変化して留まらない、とされています。冬の陰気の極みの頃は、じつは次の春の季節の陽気が戻ってくる準備がなされているものです。冬枯れの木の枝には、すでに春の花のつぼみが隠されているのです。今の時代に、よりよい職場を求める人々は、皆が一陽来復を願っています。その陽気を求める姿をサポートする事業を表現した「新ことば」として、「求陽」といたしました。

(つづく)
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